相続税申告は、本人が行うこともできます。ただし、申告書の空欄を埋められることと、財産を漏れなく把握して正しく評価できることは別です。税理士へ依頼するかは、財産額だけでなく、内容・期限・特例・家族関係を合わせて考えます。
まず財産一覧、遺言・分割状況、通帳と贈与の履歴、不動産資料を見て、自分で根拠を説明できない項目があるかを確認してください。
申告書に入れる前の判断が難しいことがある
| 状況 | 自分で進める前に確かめたいこと |
|---|---|
| 預金が中心 | 家族名義口座、生前出金、贈与、利息等の漏れがないか |
| 土地がある | 評価単位、接道、形状、権利、利用状況を把握できるか |
| 小規模宅地等を使いたい | 取得者別の条件、分割、添付書類を説明できるか |
| 非上場株式がある | 株主区分・会社資料・評価方法を確認できるか |
| 分割未了や過去贈与がある | 当初申告と後日手続、課税制度を整理できるか |
「預金だけ」「相続人が一人」という表現でも、その中に名義預金や相続時精算課税の記録があれば確認内容は増えます。簡単そうな分類だけで決めないようにします。
自分で進めるなら、数字と出典を一緒に残す
財産の金額について、残高証明・評価方法・対象日を記録し、申告書のどの欄へ入れたかを追えるようにします。国税庁の手引きは相続開始年に対応したものを使い、前年の記載例を無条件で流用しないでください。
不明な条件は、推測で「該当する」とせず質問事項にします。税務署の相談等を利用する場合も、一般的な制度の説明を聞くことと、個別の財産評価や申告書全体の作成を依頼することの違いを意識します。
相談を早めたい三つの場面
一つは、分からないことが財産の一部ではなく、申告全体の前提になっているときです。相続人の範囲、過去の贈与制度、事業や家族名義財産の帰属などが該当します。
二つ目は、特例を使うかどうかで税額や必要手続が大きく変わるとき。三つ目は、期限までに資料取得や評価を終える見込みが立たないときです。途中まで自分で作った場合でも、根拠資料と未確認事項が整理されていれば引継ぎに役立ちます。
依頼する範囲も確認する
全体の申告作成、特定財産の評価、作成済み申告書の確認など、対応できる業務は事務所ごとに異なります。「最後に一度見るだけ」でどこまで確認してもらえるのか、責任範囲・費用・必要な期間を具体的に尋ねてください。
自分で進めるか依頼するかの判断には、費用だけでなく、資料を集める時間、説明できない税務判断、期限までの余裕を並べます。相談を決めた場合の面談準備は「相続に強い税理士の選び方と初回相談の準備」で扱います。
※本記事は、作成時の法令および国税庁の公表情報に基づいて作成しています。その後の法改正や制度変更等により、現在の取扱いと異なる場合があります。実際の申告・手続にあたっては、国税庁等の最新情報をご確認ください。

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