相続税を期限までに金銭で一括納付するのが難しい場合、延納や物納の制度があります。ただし「現金が少ないから土地で納める」と自由に選べるものではありません。延納は年払い、物納は延納によっても金銭納付が困難な場合の財産による納付で、それぞれ審査があります。
税額、手元資金、生活・事業に必要な支出、取得財産、担保の状況を整理し、申請期限から逆算して準備します。
延納の基本条件
延納は、相続税額が10万円を超え、金銭での納付が困難な事由があり、その困難な金額の範囲で認められる制度です。原則として延納税額と利子税に見合う担保を提供し、期限までに申請書と関係書類を提出します。
延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合には、担保が不要となります。この二つは両方を満たす条件です。
延納期間と利子税の割合は、財産の構成等によって変わります。また、特例基準割合の変更も関係するため、利子税を何年も固定した数字で見積もらないようにします。
物納は、金銭納付が難しい範囲で検討する
物納は、延納によっても金銭納付が困難な事由があるなどの要件を満たす場合に、一定の相続財産を国へ納める制度です。国内にある相続財産等が対象となり、財産の種類には順位もあります。
相続時精算課税の適用財産など物納に充てられない財産があるほか、国が管理・処分しにくい財産は対象外になります。土地であれば、境界が不明、権利の争いがある、担保権が設定されているなどの事情が問題になります。
「売れない土地」と「物納できる土地」は同じではない
買い手が見つからない理由が、境界や権利関係の不明確さ、利用上の制約である場合、物納でも確認が必要です。売却査定額を物納の収納価額とみなすこともできません。
収納価額は原則として相続税計算の基礎となった価額です。小規模宅地等の特例を使った財産は、原則として特例適用後の価額となります。延納から切り替える特定物納などでは別の扱いがあるため、申請する制度を特定します。
申請期限と資料提出の期限を分ける
延納・物納の申請は、原則としてその税額の納期限または納付すべき日までに行います。期限内申告と、修正申告・期限後申告では日程が同じとは限りません。
担保や物納の関係書類には提出期限を延長できる仕組みがありますが、それを理由に申請自体を後回しにできるとは限りません。どの書類が不足し、どの延長手続が必要かを確認します。
検討用の表には、税額、金銭で払える部分、不足する部分、担保候補、物納候補、資料の不足、申請期限を並べます。許可される前提で他の資金準備をやめず、審査結果が異なる場合も含めて納付計画を考えます。
※本記事は、作成時の法令および国税庁の公表情報に基づいて作成しています。その後の法改正や制度変更等により、現在の取扱いと異なる場合があります。実際の申告・手続にあたっては、国税庁等の最新情報をご確認ください。

コメント