前回の一般家庭向けの節税方法で紹介した方法でどのぐらい税金が減るのか?ということを計算します。この計算を見ると、一般家庭では大掛かりな節税はいらないと感じると思います。この方法はいろんな節税商品を買うような大きなリスクはありません。もちろん家族仲がそれなりによくないと、もめる種になりますが、それはどの節税方法をとっても変わりません。
①生命保険の活用
生命保険を活用することで相続財産を減らすことができます。ここで利用する生命保険は、毎年・毎月定額で掛ける保険ではなく、一括でお金を払込み、死亡時にほぼ同額の生命保険料をもらうタイプのものです。保険会社にもよりますが90歳未満なら入れるケースが多いです。この生命保険ですが、「500万円×相続人の数」までは非課税となります。例えば、妻と子供2人の場合、1,500万円まで非課税になります。現預金で持っていれば、相続税がかかりますが、いったん生命保険に変えてしまえば、これだけの額に税金がかからないのでかなりお得です。
②養子縁組の効果
養子縁組をすると相続人の人数を増やすことができますので、控除額を増やすことができます。相続税を計算するにあたって財産から控除することができる控除額は「3,000万円+600万円×相続人の数」だからです。また生命保険の控除も「500万円×相続人の数」だからです。つまり、養子を1人増やすと1,100万円まで相続財産を減らしたことと同じ効果を生むことができます。ただし、養子は実施がいる場合は+1人まで、いない場合は+2人までしか控除上は計算しません。仮に妻と実子2人のケースで養子を100人増やしても増えるのは1人分だけです。
③毎年110万円の非課税枠が効果的
110万円の非課税枠が相続財産に繰り戻される期間が3年から7年になるという不安をお持ちの方もたくさんいます。しかし、それでもまだまだ一般的な家庭にとって最適な方法が110万円の控除です。110万円の控除がどのぐらいすごいか?は計算でみれば一目瞭然です。例えば、3人の孫に10年間贈与した場合には
110万円 × 3人 × 10年 = 3,300万円
が贈与できます。正直、一般的な家庭の場合、3,300万円も生活費を除いて余裕があるケースはなかなかないと思います。
④負の財産の清算
あまり書かれることがないですが、これが地味に影響があります。例えば、遠方にあるお墓を近隣に移動させたり、廃墟と化している建物と中のものを片付けたりすることです。中には数百万円単位でかかるものもあります。このような負の財産はいずれ誰かがやらないといけません。相続人に先送りした場合、相続人がやることになります。であれば、被相続人が事前にきれいにしておけば、それだけ相続人は出費を減らすことができます。
さて、①~④でどの程度、相続財産を削減できたでしょうか?先のケースの場合、
1,500万円①+1,100万円②+3,300万円③+300万円④ = 6,200万円
計算上は、相続財産を減らすことができます。これにもともとの控除4,800万円を足せば1,1億円までは税金がかかっていないことになります。
ここに小規模宅地の特例や配偶者居住権、配偶者の税額特例を組み合わせれば、もっと節税することができます。資産家であれば、事前に大掛かりな対策も有効なケースがありますが、一般家庭の場合、使う必要がないというのがお分かりになるかと思います。
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