相続は死亡をきっかけに財産を引き継ぐこと、贈与は財産を無償で渡す側と受け取る側の合意によって移すことです。財産を移す時期だけでなく、税金を計算する単位や必要な記録も異なります。
これから移す財産がある場合は、誰の財産を、誰へ、何の目的で、いつ移すのかを整理してください。「今なら非課税の枠に入る」という一点だけでは、税負担や家族の生活への影響は比較できません。
税金を計算する単位が違う
| 比較項目 | 相続税 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 基本となる出来事 | 死亡による相続・遺贈等 | 個人からの贈与等 |
| 計算の整理 | 故人から各人が取得した財産等を集計し、総額と各人の税額を計算 | 暦年課税なら受贈者の1年間の贈与を集計。精算課税は別制度 |
| 主に確認する資料 | 死亡時の財産、家族関係、分割、保険、過去の贈与 | 合意、贈与日、財産価額、振込等の実行、申告・届出 |
| 見落としやすい点 | 名義財産、未収金、一定の生前贈与 | 複数の人からの贈与、名義だけの変更、制度選択 |
暦年課税の贈与税は、受け取る人がその年に受けた贈与の合計で考えます。渡す人ごとに基礎控除が増えるわけではありません。相続税の基礎控除とは仕組みも金額も異なります。
生前に渡せば相続税と無関係になるわけではない
成立した贈与でも、一定の暦年課税の贈与は相続税の計算へ加算されます。また、相続時精算課税を選んだ財産は、その制度に従って相続時に精算します。どちらも贈与日や相続開始日による確認が必要です。
反対に、故人が家族名義の口座を作っていても、贈与の合意や財産の実態によっては、そもそも家族への移転が認められず、故人の財産として整理する場合があります。贈与した財産の加算と名義預金は、別の問題です。
税額以外に比較すること
生前に財産を渡すと、渡した人の手元資金や、その財産を使う自由が変わります。不動産では名義変更等の費用や、相続の場合とは異なる税金が関係することもあります。
相続で渡す場合は、死亡時の財産や家族関係によって結果が変わります。遺言や分割の準備は財産の承継に関わりますが、この比較だけで法的に有効な遺言文案や最適な分け方が決まるものではありません。
比較の前に一枚にまとめる
相談用のメモには、移したい財産、現在の名義・実際の所有者、受け取る人、希望時期、本人の生活資金、過去の贈与と制度選択を書きます。贈与済みの財産については、予定と実行を区別してください。
暦年課税と相続時精算課税の違いを検討する段階になったら、それぞれの制度の記事で要件と相続時の扱いを確認します。まずは「何を誰へ渡したいか」と「本人に残すもの」をそろえることが、税額比較の前提になります。
※本記事は、作成時の法令および国税庁の公表情報に基づいて作成しています。その後の法改正や制度変更等により、現在の取扱いと異なる場合があります。実際の申告・手続にあたっては、国税庁等の最新情報をご確認ください。


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