故人の借入金や未払金は、相続税の計算で差し引けることがあります。ただし、死亡時に存在し、確実と認められる債務であることが基本です。死亡後に家族が支払ったものをすべて控除できるわけではありません。
借入残高、請求書、契約書、支払記録を集め、「誰の債務か」「いつ発生したか」「誰が負担するか」を並べて整理します。海外居住等により控除できる範囲が限られる場合は、納税義務の区分も確認します。
支払日より、死亡時に残っていた内容を見る
| 支出・債務 | 確認のポイント |
|---|---|
| 金融機関からの借入金 | 死亡日現在の元本、利息、返済義務。団体信用生命保険による消滅の有無 |
| 未払医療費・介護費 | 故人が受けたサービスの内容・期間、請求額 |
| 未払の税金 | 故人に課される所得税・住民税・固定資産税等か。既納額との差額 |
| 賃貸物件の敷金 | 故人が返す義務を負うものか。契約・残高と取得者 |
| 親族からの借入金 | 貸付けの事実、残高、返済の経緯が確認できるか |
請求書が死亡後に届いた場合でも、死亡前の診療について故人が負担すべき費用であれば、内容を確認する必要があります。反対に、相続人が依頼した申告報酬や相続登記費用は、通常、故人が死亡時に負っていた債務とは区別します。
未払税金には後から確定するものもある
死亡時に金額がまだ確定していなくても、故人に課される一定の税金は控除対象になります。準確定申告による所得税の精算など、相続税と別の手続で額が明らかになることがあります。
一方、相続人自身の責めに帰すべき事由で納める延滞税や加算税などは、故人の税金と一括りにできません。通知書の名義だけでなく、税目・課税期間・発生理由を分けてください。
非課税財産の購入代金等は別扱い
故人が生前に購入した墓地・墓石などの非課税財産に関する未払代金は、原則として債務控除できません。財産が非課税である一方、その購入債務だけを課税財産から引く扱いにはしないためです。
また、住宅ローンが死亡保険等で消滅する場合、死亡日残高証明に記載があるからといって、その額をそのまま控除することはできません。金融機関へ契約内容と精算の扱いを確認します。
保証や争いのある請求は、一覧を分ける
保証人になっていた会社借入、返済を求められているが争っている請求などは、残高の数字だけで確実な債務とは判断できません。保証契約、主債務者の状況、請求・履行の経過などを別に集めます。
確定した借入と同じ欄へ入れて自動的に引くのではなく、判断待ちとして管理します。経営者の保証は「経営者の個人保証・会社債務と相続税の確認」、高度な個別認定は専門的な確認の対象です。
最後に、財産一覧と債務一覧で同じ金額を二重に減らしていないかを照合します。預金から既に支払われた費用か、死亡時に未払だった費用かを、日付とともに残してください。
※本記事は、作成時の法令および国税庁の公表情報に基づいて作成しています。その後の法改正や制度変更等により、現在の取扱いと異なる場合があります。実際の申告・手続にあたっては、国税庁等の最新情報をご確認ください。


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